H-RISE 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター 幌延地圏環境研究所

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【論文公開】「嫌気条件下で腐植物質を分解する微生物に関する論文」がNature Groupsのオンラインジャーナルで公開となりました。

2016.01.11
本研究で単離したClostridium sp. HSAI-1株の電子顕微鏡写真 (SEM画像)

2016年1月8日(金)付けで、
Nature Groupsのオンラインジャーナル
「Scientific Reports」に
論文が掲載となりましたのでお知らせいたします。


論文タイトル:
Anaerobic decomposition of humic substances by Clostridium from the deep subsurface.
Ueno A, Shimizu S, Tamamura S, Okuyama H, Naganuma T & Kaneko K
Scientific Reports (2016) 6, 18990
doi : 10.1038/srep18990


詳細は論文をご覧ください。
以下のサイトより自由にダウンロード可能です。
http://www.nature.com/articles/srep18990


論文の簡単な紹介 (論文要約の一部になります):

(1) 地下環境からClostridium sp. HSAI-1株を単離した。

(2) HSAI-1株は、地下環境中に含まれる主要な有機物である腐植物質を嫌気条件下で分解する。

(3) HSAI-1株は、腐植物質の構造を変化させる。

(4) 本研究内容は、地下環境中の炭素循環において、腐植物質の嫌気分解についての
理解を深めるものである。


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 堆積物・堆積岩に代表される地下環境は、酸素がない嫌気的な環境と考えられています。そこには酸素による風化の影響を受けない大量の有機物が未利用の状態で残されています。現在まで、難分解性の高分子有機化合物である腐植物質は、酸素を利用する好気性の微生物により分解されると考えられており、その反対の条件である嫌気性の微生物が腐植物質を分解することは困難であると考えられてきました。  
 本研究では、酸素が行き届かない地下環境より、嫌気条件下で腐植物質を分解する微生物を、世界で初めて取得しました。他の先行研究では、嫌気条件で腐植物質を分解する微生物の存在は推定されていましたが、実際に微生物を単離し、実験的に確認を行ったのは本研究が初めてとなります。