H-RISE 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター 幌延地圏環境研究所

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H-RISE 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター 幌延地圏環境研究所

幌延ライズとは
公益財団法人
北海道科学技術総合振興センター
H-RISE 幌延地圏環境研究所
〒098-3221
北海道天塩郡幌延町栄町5番地3
TEL 01632-9-4112
FAX 01632-9-4113

平成24年度

 第4フェーズでは、次の2項目を研究目標とした。
(1) 地層内の未利用有機物のバイオメタン化に関する研究:珪質岩・褐炭層等におけるメタンの生成プロセス・貯留能・地中移行特性に関する評価手法を検討し、原位置モデルの開発に資するパラメータを抽出する。
(2) CO2の地中固定化に関する研究:CO2の生物固定に活用可能な多様な有用微生物を獲得する。CO2の貯留対象地質である珪質岩・褐炭層の空隙構造や地球化学的特性を把握する。
 そして,上記計画を実現するために、以下の研究を行った。
 堆積岩の特性と地質作用に関する研究として、長期計画の重点研究項目である地圏環境におけるメタンガス鉱床開発およびCO2 地中貯留における堆積岩の力学特性への影響についての評価手法開発のために以下の研究項目を実施した。軟岩の環境影響に関する研究については、破壊や変形が岩石の特性に及ぼす影響に関する研究をひき続き行い、薄片構造に基づく細部構造の調査などを行った。軟岩の力学特性と間隙流体の影響に関する研究については、間隙弾性パラメータ取得のための室内試験方法の開発を継続して行い、平成23年度に開発した手法を、幌延珪質岩などの岩石に適用しデータの蓄積を行った。
 地下の微生物環境と有効利用に関する研究として、JAEA立坑の地下140mあるいは250m坑道について調査地点を増やし、幌延地下微生物の16S rRNA遺伝子ライブラリーの精度を向上させた。長期計画の重点研究項目であるメタン生成微生物群の探索と機能に関する研究については、地層内の未利用有機物のバイオメタン化に関する研究においてメタン生成プロセスの効率改善のための基礎知見を得るため、昨年度発見した珪質岩および石炭からメタンを生成する微生物群集について群集構造の特徴づけと主要なメタン生成微生物の特定を行うとともに、地下水環境研究グループと共同して、地層内の主要有機物である腐植物質の分子構造への微生物影響の評価を行った。
 地下水やガスの地中移行と広域地下水環境に関する研究として、メタン生成微生物の基質生成プロセスの解明を目的に、岩石中の有機物の組成を機器分析により明らかにするとともに、微生物反応性の高い有機酸などの溶出傾向を調査した。また、上記目的に添った地下微生物環境研究グループとの共同研究を行った。さらに、幌延町周辺の地下水中の溶存メタンの炭素・水素同位体比やアミノ酸濃度などについて明らかにした。